2008年4月5日土曜日

スパエク 影絵劇

カンボジアに限らず、東南アジア地域一帯の文化はインドの影響を受けています。
特にインドの長編叙事詩"マハーバーラタ"と"ラーマーヤナ"はタイ、インドネシア、そしてカンボジアにおいて、土着の文化や民話を織り込み、それぞれの地域版ともいうべきものを生み出しています。
カンボジアにおいて、これら2大インド叙事詩は影絵劇となって発展しました。
"リムッケー" は、カンボジア版 "ラーマーヤナ" として知られています。

スパエク(影絵劇)は、"ラーマーヤナ" 物語を題材にした民衆影絵劇です。
大まかな筋は決まっていますが、台本はありません。
ほとんど即興で演じられ、観客はその場の軽妙なやりとりを楽しみます。
それが現代に生きる古典影絵 "スパエク"の大きな魅力だといえます。
農村のひとつの娯楽として定着しており、祝い事や収穫後などに寺の境内で行われるのが一般的です。

カンボジアは、首都プノンペン以外は小さな都市ばかりであり、アンコール遺跡群のあるシエムレアプといえども例外ではありません。
カンボジアの全人口のうち80%は農村に住んでいます。
農村の生活は農事暦によって規定されていて、農民にとっては自然のサイクルこそが道徳であり、秩序であると考えられています。
メコン川とトンレ・サップ湖、そしてシャム湾と自然の恵みが豊かなカンボジアでは、今も昔も農民が国家を支えています。

あれほどの隆盛を極めたアンコール王朝が15世紀半ばにシャム(タイ)のアユタヤ朝に侵略され、その後、近代においては1970年以来、戦争と虐殺、そして今もジャングルに埋まったままになっている地雷など、悲惨な経験を経てきているにもかかわらず、楽観的で、くよくよしない性格といいわれる農民たちが力強く生活を営んでいる姿をみると、日本では見る事のできない力強さを感じる事ができます。

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